• 2003.02.17 Monday 01:07
  • 映画会社のオーナー企業に求められる資質とは?
  • by 神田敏晶
KNN神田です。

●2002 年の北米映画興行収入額は、過去最高の93億7000万ドル(約1兆1150億円)を記録した(エグジビター・リレーションズ社調べ)。昨年第一位は「スパイダーマン」の4億585万ドル(約483億円)「スター・ウォーズエピソード2」が3億950万ドル(約368億円)「ハリー・ポッターと秘密の部屋」が2億4000万ドル(約286億円)と続く。ちなみに邦画史上最高の「千と千尋の神隠し」の興行収入は293億円である。不況時なほど、映画が好調というのは、どの国も似ており、時間あたりの満足度が高いからであろうか?


●インターネットムービーデータベース社のサイトでは、常に米国の最新チャートを公開しているので、「米国ナンバー1ヒット映画」がわかる。また、何本もの米国ナンバー1ヒット映画が続々と日本に上陸するのも理解ができる。その「ナンバー1」は毎週、毎週ヒットが変化している激しい米国の映画産業が生んだもはや映画の販売促進のためのキーワードとなっている。また、それが現在の映画ビジネスは公開してからの一週間ですべてが決まるといっても過言ではないほどだ。その体制は、現在の映画会社を所有するオーナーの顔ぶれを見れば映画会社に求められるものが見えてくる。


●今から約80年前の1920年代、映画会社はビッグ3リトル6で構成されていた。ビッグ3は、「ファーストナショナル」「パラマウント」「MGM」そして、リトル6は「ユニバーサル」「フォックス」「ワーナー」「FBO」「MPPDA」「ユナイテッド・アーティスツ」で業界が構成された。当時の映画産業は、小さな市場であり、裕福な人は演劇を見に劇場に出かけるため、高価な劇場に行けない貧困層や労働者階級をメインのターゲットとしていた。いわば映画産業は、ニッチなベンチャービジネスであった。小さな劇場を毛皮や宝石の輸入で成功したユダヤ系移民たちが買収し、さらにコンテンツも自分たちで作ろうと、安価なハリウッドの丘陵地を購入し、映画の量産化するための街を作ったのがハリウッドのはじまりである。


●しかし、現地法人を構えるサイバードコリアの山内社長によると、韓国の携帯コンテンツのビジネスモデルは、日本のような月額課金ではなく、都度課金(毎回の課金)をとったおかげで現状では、爆発的な普及にはおよばないと推測している。それはコンテンツホルダーにとって継続的に利益が還元されないからだ。


●そして1930年代、映画ビジネスはトーキー(サウンドトラック)の時代となり、演劇では実現できなかったロケや大掛かりな仕掛けやトリック、アクション、有名スターによるコメディで大衆を魅了し、黄金時代を築く。ビッグ3リトル6は、ビッグ5リトル3となり、ビッグ5は「パラマウント」「MGM」「20世紀フォックス」「ワーナー」「RKO」リトル3は「ユニバーサル」「コロンビア」「ユナイテッド・アーティスツ」で構成された。


●その後、映画産業は1940年代の第二次世界大戦をむかえ、終戦後1950年代には映画の黄金期を超え、テレビジョンという最大のライバルが誕生し、1960年から1970年代にかけて大作のスペクタクル巨編というテレビとは差別化された内容で話題を集め、1980年からはCATVやテレビとの連動によるキャンペーンや再放送やビデオパッケージ販売、そしてテーマパークやキャラクター商品という総合エンターテインメント産業としての道を歩みはじめる。


●そして現在の映画会社は、テレビと差別化されたコンテンツであり、共存共栄を行いながら、相乗効果をあげるためにメディアの国際的なコングロマリット企業により所有されるようになった。すべては映画のプロモーションにかかってきたからである。ハリウッドの映画会社は、ハリウッドというグローバルな都市に集結した世界企業の市場であり、決して米国市場ではないことから全世界的な視野での作品作りに心血がそそがられる。所有会社の国籍もバラエティに富んでいる。


●現在では、ビッグ7+1と呼ばれる国際的なコングロマリット企業によって構成されている。「20世紀フォックス」は、豪ニューズグループのルパード・マードックが所有し、TVのFOXも所有している。「パラマウント」は、MTVで80年代に成功した米CATV大手バイアコムが所有し、バイアコムは元親会社であったCBSテレビも所有するようになった。「ユニバーサル」は、松下から飲料大手のシーグラムを経て、現在は仏ビベンディが所有し、ソニーピクチャーズエンターテインメント(SPE)は、「コロンビア」を買収した日本のソニーが所有する。「ワーナー」はタイムと合併し、米AOLタイムワーナーの所有である。
「ディズニー」はテレビのABCも所有する。「MGM」はユナイテッドアーティスツを買収し、MGM/UAとなる。そして、スピルバーグらが設立した「ドリームワークスSKG」の7大+1という映画会社で現在のメジャー映画会社は構成される。


●映画産業も歴史的にみると、まだ誕生してから1世紀を迎えたばかりの産業であり、現在の興行スタイルになってからまだ80余年しか経ていない。しかもその映像の流通が、フィルムからようやくデジタルシネマによって変わりつつあるのも新時代の特徴である。映画の視聴も映画館から、CATV、ペイTVからオンデマンド、パッケージもVHSからDVDへ、ネットでの定額借り放題DVDビジネスなど、映画の関連ビジネスはTVと一緒に築いたように、新たな世界をインターネットとも築いていきそうである。マイクロソフトが、唯一この分野にだけは進出していないのが不思議である。


●新ビジネスでは、インターネットで映画を使った新しい「賭け事」がおこなわれている。それが米国のハリウッドストックエクスチェンジ社だ。ハリウッドストックエクスチェンジ社が英国でおこなっている「映画興行収入ベッティング」サービスはスプレッド・ベッティングというギャンブルは米国では違法であるが、英国では問題がない賭け事だ。ルールは、親が数字の幅(スプレッド)を設定し、その幅の上になるか下になるかを賭けるというルールだ。これによって、映画のヒットの程度に応じた報酬を参加者は得るということになっている。映画の作品を銘柄と例えて「SYMBOL」が4文字で設定されているところなどが面白い。「TERM3」は「ターミネーター3」、「SPID3」はスパイダーマン、「HPOT4」はハリーポッターという様子だ。いわば株価ならぬ映画価で示される。


●映画に直接投資をするというよりも、間接的なマネーゲームの世界が映画の世界にまでも及んでいる。実際の映画の質よりも、人気があるかどうかが重要というところが、映画と株取引とギャンブルがますます似ているように感じる今日この頃でもある。映画会社のオーナー企業は、いい映画を作ることよりも、売れる映画に見せかけるプロモーションを展開できる企業であることが大事になっているようだ。どおりで最近、本当に面白いといえる映画を見ることができないわけだ。

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